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業務システム開発における失敗要因と注意ポイント

システム開発の失敗率は7割と言われています。
プロジェクトを成功させるためには、失敗する原因を知り事前に対策を行なっておくことが重要です。
ここでは、業務システムの開発現場でよくある失敗の原因とその対処ポイントを紹介します。

1. よくある失敗の原因

❌ 要件が曖昧なまま進行してしまう

  • 業務の目的や必要な機能が整理されていない
  • 利用者の声が反映されていない
  • 「なんとなく便利になりそう」で進めてしまう

❌ 発注側の関与が不足している

  • ベンダー任せでレビューや意思決定が遅れる
  • 業務部門との連携が取れていない
  • 仕様変更や課題対応が後手に回る

❌ スケジュールが非現実的

  • バッファがなく、遅延が許されない計画
  • 業務イベント(繁忙期など)を考慮していない
  • 要件定義や試験に十分な時間を割いていない

❌ コミュニケーション不足

  • 情報共有が遅れ、認識ズレが発生
  • 問題が表面化するまで気づかない
  • 会議や報告が形式的で、実質的な議論がない

❌ 運用・保守の視点が抜けている

  • リリース後の体制や対応ルールが決まっていない
  • 利用者からの問い合わせ対応が属人化
  • 改修や改善の予算・契約が未整備

2. 気をつけるべきポイント

✅ プロジェクトの目的と成功条件を明確にする

  • 「何を実現したいか」「どんな業務効果を期待するか」を言語化
  • 成果物だけでなく、業務改善の視点を持つ

✅ 要件定義にしっかり関与する

  • 業務部門と連携し、現場の声を反映する
  • 仕様の背景や業務ルールを丁寧に説明する

✅ スケジュールと体制を現実的に設計する

  • 各工程に十分な時間を確保する
  • レビューや承認のタイミングを事前に調整する

✅ コミュニケーション設計を重視する

  • 定例会議、報告書、課題管理表などを活用
  • ベンダーとの関係を「対等なパートナー」として築く

✅ リリース後の運用・改善まで見据える

  • 保守契約の範囲と対応体制を明確にする
  • 利用者の声を拾う仕組みをつくる(アンケート、レビュー会議など)

3. 失敗事例から学ぶ教訓

事例 原因 教訓
要件定義後に「業務フローが変わった」と言われた 業務部門との連携不足 要件定義前に業務変更の可能性を確認する
リリース後に「使いづらい」と現場から不満 UI/UX設計が現場視点でなかった プロトタイプで早期に操作性を検証する
ベンダーとの認識ズレで仕様が食い違った 設計書レビューが形式的だった レビュー時に業務背景と意図を共有する
保守契約外の改修が頻発し、追加費用が膨らんだ 契約範囲が曖昧だった 保守契約に「改修対応の条件」を明記する

まとめ

プロジェクトの失敗は、技術力だけでなく「発注側の準備と関与」によって左右されます。
成功の鍵は、以下の3点に集約されます。

  • 🎯 目的と要件を明確にすること
  • 🤝 ベンダーと協力しながら進めること
  • 🔁 運用・改善まで見据えて設計すること